不動産投資に向いている人とは?
- 自ら住む気はなく、キャッシュ・フローとキャピタル・ゲインに注目するタイプ
- 自ら住んだ時の利便性、居住性、街の景観等美的な部分に拘るタイプ
間違いなく1のタイプが、投資家的考え方である。更に仕入れは安く、となるとプロだ。
が、動産としていつでも売り買いできる株式でも、この企業を育てたい、社会貢献に力を入れている企業(例えば今話題のSDGs)を応援したい、と考えて投資する人がいる。
2のタイプは、企業応援型株式投資家に近い。
自分は2のタイプで、結果としてトータルで少し+になった程度である。
バブル崩壊直後のマンション購入のロスが大きかった。
それでも不動産購入やりフォームの過程は楽しかった。
こういう過程を楽しめる人も、リターンは3年以内に絶対二桁以上という雇用主からの圧力があるのでなければ、広い意味で不動産投資に向いているのかも知れない、と自分で思う。株式にも育てたい会社に長期投資、という考え方がある。
堅実な生活態度で、融資だけでは足りない頭金を貯めることに役立った。住宅ローンは給料天引き貯金のようなもの。
ウン億円稼いで、銀座で豪遊、トロフィーワイフとタワマンで、という人には私の経験は全く役に立たない。
一方、思い切った借金や即金購入の決断は速かったと思う。
若いころは、借金=銀行融資に頼らざるを得なかった。安い物件なら現金での購入も可能になったのは、50歳を過ぎてから。
自分名義で銀行融資を申し込めたことも、決断から実際の購入までが速かったことにつながる。配偶者や親族にも融資申し込みをして共同名義にする必要がある場合は、説得に時間がかかる。
優柔不断な人がいる。
自身の物件の売却を試みた時、内覧後あれやこれやずいぶん悩んで引っ張った挙句、仲介業者から督促されてやっと断念の意を示す人が散見された。
こういう人はどんな投資にも向かない。
不動産は何と言っても高額だということはあるが、多分それほどの値段でもない商品を前にしても、どうしよう、どうしようと悩み続ける人でもあると思う。
投資に家族を巻き込んではいけない。自分だけで決断するのだ。
家族それぞれの意向を聞いての全員一致が必要なケースもある。
北川景子主演の「家売る女」でも、なかなか決められない夫婦が登場したし、坂上忍やみやぞん等芸能人の物件購入番組でも、演出かもしれないが、とりあえず「キープ」という選択をするケースも多い。
家族の住処を購入する、建てるとなると、カネも出さず口だけ出す有象無象が出てくる。家庭円満のためには、コンセンサスが重要だ。
が、投資となると家族に類が及ばないよう、自分だけで完結させるのだ。
額の大きいへそくりみたいなものかも知れない。
結論が出たら関係者にすぐ伝えるのが礼儀
購入決断が速いということは、この物件はビミューと感じると、購入しないという意思表明も速い、ということ。自分の好みがはっきりしていることでもある。
これは仲介業者や売り手に対して親切な対応だと思う。
物件を案内した仲介業者にも、自身の都合を優先して売主になかなか連絡しない人がいる。まあ、契約前には書類作成等忙殺されるのだろうが、「ノー」という答えがでているならその一言だけでも迅速に伝えるのが、物件案内を引き受けた者の礼儀だと思う。
究極の速攻決断
コロナ前は、値上がりするはずと思うと、物件を見ずに「買い!」と海外から回答する中国の資産家もいたと言われる。速っ!不動産投資家はそういうタイプなのかも知れない。
自分は愛着がある物件にこだわる。だから、見もしないで買うなんて考えられない。
株式投資の定石「分散」、「長期」投資は不動産にも当てはまるか?
この定石は移民が流入し続け、人口が増えて、イノベーションの機運が高く経済成長が続く米国や、新興国の株も組み入れているという意味での「分散」だ。国内株でも情けない東芝、みずほ銀行から元気いっぱいのソニーや任天堂、ユニクロまで含めば「分散」だろう。
人口が減っていく日本で、不動産の分散も長期も難しい。
地域的な分散投資が可能なエリア
毎年、島根県ひとつ(人口約65万人)がなくなっていくのである。
テレ朝「ポツンと一軒家」で紹介される人々は、それぞれ魅力的で、先祖から引き継いだ物件を大切にしなければと頑張っている人が多い。冒頭にあげた2のタイプに属するのだろう。が、流通があまりに難しく、投資対象というより趣味の物件という方が正確だろう。
投資対象となるには、流動性のある物件、都会や観光地のような人が集まる場所である必要がある。首都圏である必要はないが、京阪神、福岡、名古屋圏あたり。
北海道や沖縄は観光地としての魅力はもちろんある。コロナが収束すれば、インバウンド客が戻ってくるだろう。
レジ以外の不動産がある。
倉庫、宿泊施設、最近ではコインランドリーも不動産投資対象だ。需要のあるところでレジに拘らないなら不動産の「分散」投資だろう。
が、私はレジが好きだ。宿泊施設もレジの流れ。
積水ハウスの歌にほろっとしてしまうのは、住まいへの思い入れの強さだろう。
小林亞聖さんが亡くなられて、この愛おしい曲も小林さん作曲と知った。人々の家への様々な思いを音で表現している。凄い才能!
こういうタイプだから、コインランドリーを所有して収益を上げたいとは思わない。カフェや託児所を併設したコインランドリーを運営するのなら、多少魅力は増すが、自分にとってのワクワク感がレジに比べればおおいに劣る。
人に勧められたからではなく自分で選んだ投資なら失敗しても自分を責めればいいだけ
立地が良さそうだと、業者の方がアプローチしてくるのだろう。この土地をコインランドリーにすれば、年○○%のリターンがありますよ、と。
かぼちゃの馬車、レオパレスだけでなく、大手不動産業者による節税対策としての賃貸住宅経営ご案内。税理士と一緒に現れる、先方からのアプローチには眉唾で臨むタイプには、心が動かない。
業者は最後まで責任をとってくれないのだから。
アパート一棟経営には全く関心がない
「なんとか大家さん」等、アパートを何棟も所有、賃貸して財を築いた人が不動産投資の成功者として取り上げられている。私は狭い敷地に建つ全10戸ほどの二階建て木造アパートは苦手である。
自分が住みたくないからだ。所有し、人に貸すからには、自分が住んで満足度が高いものにしたい。
まずい料理を出す料理人は淘汰されるのに、なぜか不動産業者は欠陥住宅でも生き延びている。
レオパレスの様々な問題が明らかになったのは数年前。今年は、外階段が崩落して死亡事故を起こした挙句、自己破産する施工業者が話題になっている。
施工業者が安く請け負うのは、発注者―開発者―投資家ができるだけ値段を抑えようとすることにある。
築年が浅いうちはまあ見られるが、どんどんみすぼらしくなっていく物件を「売り抜ける」のも投資家的才能だろう。ジャンクボンドでがっぽり儲ける人がいるように。
安アパートは外部不経済
今の東京の家の近所には昔からの地主が多かったらしく、昭和の高度成長期にこういうアパートが結構あり、それが元地主の立派なお屋敷の隣に立っている。
洗濯機置き場は玄関扉のすぐ横、自転車置き場はなく、公道に賃借人の何台もの自転車が駐輪している。ゴミの捨て方はキレイとは言えず、指定の日の前から放置されていたり、収集業者の「分別されていないので回収できません」のラベルを貼った袋が転がっていたりすることも多い。
施工不良ではなく経年劣化で外階段が今にも崩落しそうでも、借りる人はいるのだ。都心に近く、駅まで徒歩10分以内でも賃料は安い、という判断かもしれない。
この地域では土地の値段が高くなってきたので、新しく賃貸経営をする人が建てる物件はそれなりの賃料を設定できるようなそこそこ立派な建物で、ゴミ置き場も自転車置き場もあるし、多分室内には洗濯機置き場もあるのだろう。
田園調布や関西の芦屋六麓荘では、小規模開発はもちろん、アパート建築も許されないらしい。パチンコ店やコンビニもないそうだ。
排他的かもしれないが、こうして街の景観が守られ、その価値を共有する人のみが住民となる地域が日本に少しくらいあってもいいと思う。
優れた建築物は芸術でもある。単独では芸術品でも隣が安普請の崩れそうなアパートでは困る。
以上、自身が決して高いリターンを望めないタイプであることを綴ってみた。
それでも若干の成功例があるので、これは次回に紹介することにする。
(今回はここまで)