不動産は面白いーー巣の確保から投資に至る過程で得た学び

アカウント名「家売る女」のど真ん中ブログ:不動産遍歴から得た学び

不動産インサイダーではない者が手にできる3つの武器

不動産投資に高学歴は必要か?

ローン承認という観点から、「安定した仕事に就き、一定以上の収入が確実に毎月入ってくる人、借入金はすぐに返済可能程度の額であること」が望ましい。

 

眞子さんの婚約内定者、小室圭さんの現在の属性は、ローン審査担当者にすればあらゆる点でアウト。米国法弁護士として働きはじめてからのパーフォーマンス次第だ。

 

この観点からは正規公務員は有利。が、別に高学歴のキャリア公務員である必要はない。転勤、配置転換の多い、しかも40過ぎれば肩たたきに合う国家公務員キャリアより、一生経理担当で定年まで所属の役所に居続けることができ、しかも異動の少ない地方公務員は、本人がギャンブルや愛人に公金をつぎ込まない限り、銀行にとっては垂涎のローン申請者だ。

 

こういう人が、地元で自分の住む家に加え、アパート一棟経営なんかに乗り出せば、それなりに成果をあげられるのだろう。人口が激減していく日本でも、継続的に賃貸需要がある地域は必ずある。

 

業者が持ち込む物件は記者クラブで発表される「ニュース」のようなもの

誰にでも公開されている物件ということでは、フェアな話である。

が、大きく儲ける人はやはり非公開情報、インサイダー情報に通じた人だ。

 

戦前の話だが、島根県足立美術館を創設した足立全康は農家の生まれで尋常小学校卒、第八車で行商し、大阪の不動産開発で財を築いた。機を見る才が抜きん出ていたのであろう。

 

足立全康の絵画や料理、庭園についての美意識は本物だが、財を築くにあたり、大阪駅周辺の開発計画を誰よりも早く察知し、誰よりも早く「買い!」と決断したと想像する。

 

最近亡くなった立花隆さんの出世作田中角栄研究ーその金脈と人脈」で描かれているように、田中角栄信濃川河川敷開発計画を何等かの形で事前に察知したのであろう。「人たらし」と呼ばれる魅力とずば抜けた才覚とお金の力で、インサイダー情報を手に入れ、4億円で購入した土地が建設省(当時)の公共工事で数百億円の資産形成に成功した。

錬金術は、貴重な内部情報に裏打ちされた土地ころがし。

 

トランプ前大統領も親から相続した不動産業を更に拡大するにあたっては、ビジネスセンスとともに「政商」としての才覚も発揮したのだろう。

 大統領時代、娘や娘婿を何の躊躇なく公職に任命したほどだから、値上がりしそうな不動産を取り巻く情報は、ネポティズム縁故主義)を当然のごとく利用して得たに違いない。

アメリカ人が縁故主義は駄目、フェアであれ、と繰り返すのは、人間はアンフェアな行動に陥りがちであることを認識している証にすぎない。

 

日本のアンフェア取引例

国家プロジェクトは政治家と業者、役人がいち早く情報を得る。堅実な役人はインサイダー取引を断罪されることを恐れ、所掌事務に関連する株や不動産には普通は手は出さない。業者もコンプライアンスの観点から自分が手掛けるプロジェクトを私的に利用しない。

政治家はその人次第だ。

千代田区前区長のように、地元選挙区で開発業者から「地権者枠」だか「事業協力者枠」だかで値上がり確実の高級マンションの一室を手に入れた。国家プロジェクトでもない、セコい例である。

 

 普通の不動産投資家予備軍はインサイダー情報ではなく正攻法でいく

情報は求めていない者のところには勝手に歩いてきてはくれない。

土地ころがし成金も、鋭い嗅覚でなかなか手に入らない情報をあの手この手で嗅ぎまわったのだと思う。

「求めよ、さらば与えられん」

普通の人は、インサイダー情報に期待するより、公開情報+普段の地道な情報収集と若干のカンで、ある程度の成果を上げるよう努力するしかない。

 

 高輪ゲートウエイ駅新設、北陸新幹線延伸は公開情報になってから手を出した人でも、周辺土地や物件はある程度の値上がりは得られたはずだ。99%の人は、こういうプロジェクトを知ってはいても特に関心はなく、関心があっても実際に物件を購入するにまでは至らないのだから。

 

インバウンドスキー客を当て込んで、長野駅止まりの新幹線が金沢まで延伸することが決まっていることを前提に、野沢温泉に外国人向けのホテルを建設した外国人投資家がいる。北海道ニセコの土地の値上がりは、日本の国家プロジェクトではなく、外国人が牽引したものだ。

「需要は確実にある」というのは同胞の動きを知る彼らならではの見込みだった。

 日本人のスキー人口の減少を嘆いていただけの人には、入手できない情報である。

 

セミナーで人を集めて、参加者に紹介される未公開物件は眉唾

よく紹介される例だが、不動産業者が「これはお得物件ですよ」と持ち込んでくる時、「そんなにお得なら、なんで自分自身で購入しないの?」と聞き返そう。

不動産でも、なんたら商法でも、すべての投資物件は似たようなものだ。ぼろ儲けできるなら、こっそり一人でやるはず、人に勧める時点で胡散臭い。

 

業者のカモにされず、なおかつ若干の成果をつみ重ねていく上での鉄則

利益=売上ー経費

 

不動産の経費は、購入価格+仲介手数料、司法書士手数料、税金等である。

この経費を少しでも抑えることができれば、利益は確実に増えることになる。

 

インサイダーでもないド素人がプロの世界に入っていくのだから、わずかな成功例の陰に無数の失敗があるはずだ。不動産王(女王)の成功体験を鵜呑みにしてはいけない。 

 

振り返って確実に言えることは、以下の3点。

1.時間で勝負=人より早く動く

2018―19年あたりに京都でホテルを開業しようと動き始めた人は遅きに失したと思う。自身の京都の町家宿泊施設投資は2011年5月。3月の福島第二原発事故で日本から外国人駐在員がいなくなって間もない頃だった。順調に稼働していたが、近隣に似たような施設が乱立し始め、単価を下げないと集客が難しくなり始めたのが2016年頃。

東京資本や外資が、すでに高騰し始めた京都のまとまった土地を獲得し、様々な許認可を経て、海外の富裕層を念頭においた客単価の高い高級ホテルの開業にこぎつけた時期とコロナがばっちりあったのは痛恨だろう。

 

2.変形で勝負

京都は特に路地奥の再建築不可の物件に魅力がある。

東京でも、かつての地主の広い土地を何分割もすれば、公道接道の長さがギリギリ再建築可をクリアする旗地が生まれる。

再建築ができなくてもリフォームは可能なので、設備や外観を一新できるし、土地の値段が安い分固定資産税額も低い。

こういう物件を賃貸なり宿なりにして運営したとしても、路地奥だから、旗地だから、といって賃料や宿泊料金が大幅に下がるわけではない。土地の値段が安い分、利便性のある土地なら、運用収益は整形地に優る。

公道に面しているより静か、というメリットまである。

 

3.海外事情で勝負

季節が日本と反対のオーストラリアは、コロナまで30年以上ずっと経済成長を続けてきた。

日本がバブルの最後の宴に浸っていた1990年前後は、この国は地下資源を掘って輸出するしかない、途上国型経済とバカにされていた。

が、バブル崩壊後停滞する日本を尻目に、成長するアジア諸国の資源需要を受け、またIT化も進め、一人当たりの国民所得は、日本の1.3倍になった。金持ちなのである。

熱帯、亜熱帯に位置する東南アジア諸国とは違い、欧米のライフスタイルを送るオージーたちはスノースポーツに馴染んでいる。質の良い日本の雪を発見したことに驚きはない。

そして、アジア諸国での中産階級の台頭である。生活に余裕が出ると、お金のかかるスポーツにも関心が行く。シンガポール、香港の教育熱心な親たちは、雪の降らない自国では難しいスキーやスノーボードを子供たちに体験させたいと願う。

緯度が低く、比較的暖かいのに豪雪地帯が多い日本の、かつて整備されたスキー場に彼らが殺到するのは予測できたはずだ。コロナが収束すれば、彼らが戻ってくるのは確実だ。

東京のタワマン価格高騰の背後には、中国人の資産保全行動もある。共産党ににらまれたら、アリババ創始者も表舞台から消されるのだ。オーストラリアのシドニーやカナダのバンクーバーの不動産価格に比し、東京のそれは割安だと中国人富裕層は判断した。

固定資産税や管理費、修繕積立金について十分な理解がないまま購入されると困るのは他の区分所有者だが、中国の金持ちが都心3区のマンションの価格高騰に貢献したのは紛れもない事実。

 

そして、(1.の延長である)売る時も時間で勝負

私はタワマンが好きではないので、港区のマンションに食指が動くことはなかったが、賢い投資家は、都心のマンションで外国人所有者の管理費不払い問題が顕在化する前に、自分の区分所有分は売って、それなりのキャピタルゲインを得ているのだろう。参入者が多くなってレッドオーシャンになる前に、あるいは、面倒な問題が顕在化する前にさっさと退出するのも「時間で勝負」である。

もちろん、高額の修繕が必要となった時の、タワマンの合意形成の難しさも十分に念頭に入れての迅速なアクションだ。

 

この3つの武器は、インサイダーでなくとも頑張れば手に入れることはできるはずだ。

 

                           (今回はここまで)

 

 

 

 

 

 

 

日本人不動産鑑定士ではわからない。

 

 

 

 

 

考えれば、株でも不動産でも、高学歴でなくとも成功する人はしている。戦前の話だが足立美術館を創設した足立全康は農家の生まれで尋常小学校卒、第八車で行商し、大阪の不動産開発で財を築いた。機を見る才が抜きん出ていたのであろう。田中角栄も土地ころがしだ。